◇【新刊のお知らせ】SB新書から『下流中年 一億総貧困化の行方』という中高年層の貧困化について取りあげた本を出しました。雨宮処凛さん、萱野稔人さんなど6人での共著です(2016年4月6日)

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2016年4月27日水曜日

4月29日、都内で熊本地震の被災と支援の情報共有会をやります!

避難所のマンガ図書館は5月の学校再開まで稼働する予定


4月29日に、緊急で、熊本市内で避難所の支援を行っている方をお招きし、被災地のリアルを知るためのイベントを赤坂見附で行います。

GW初日ですが、お時間ある方は、足をお運びいただけるとうれしいです。熊本のお酒を集めてお待ちしております。

イベントのディレクションは、ソーシャルメディアコンサルタントでMeetupコミュニティマネージャーの市川裕康さん。私は「聞き手」として加わります。

お話を伺う相手は、熊本在住の元教員/元産経新聞記者で、日頃から地元でコミュニティづくりに取り組んでいる株式会社クマベイス田中森士さん(@kumabase_tanakaです。

子どもたちのために避難所にマンガ図書館を設置するなどの活動をしている田中さんは、今回、大変お忙しいなか、生の声を伝えるために東京にお越し下さいます。
参考:「くまもと 避難所の小学校にマンガ図書館ができる」(4/22 NHKやさしい日本語ニュース)

実際、現地の被害・被災はどんな案配なの? 東京から支援できそうなことってあるの? などのもやもやを考えていく上で、参考になる情報共有ができればと思っております。もちろん、未災地にいる身として身の回りの防災を再考するきっかけにも。

会場は、赤坂見附の「トレジオン(=三陸って意味!)」で、「くまもと&おおいたDAY!~for つながり大作戦」イベントとのコラボです。(つながり大作戦は、たすけあいジャパン主催の、あの「きっかけバス47」というとんでもなくでっかい学生プロジェクトを引き継いだプロジェクト)

お申し込みは下記枠内のMeetupリンク先から、または、私あてのDMでもOKです。

東京デジタル・キュレーションMeetup
災害時における情報収集と情報発信:熊本­地震・緊急報告会〜熊本地震で求められて­いる支援とは

開催日時:2016年4月29日 イベントのコアタイムは17時〜19時(店は15時〜23時までオープン)
会場:TREGION Hamayaki-Bal(東京・赤坂見附)

2013年2月21日木曜日

2.22 クライストチャーチ地震から2年 保険と建築許可がいまだに下りない生活者の現状

2年前のあす(2011年2月22日)は、ニュージーランド南島のクライストチャーチ地震(=カンタベリー地震)の日です。マグニチュード(M)6.3の地震が市直下で発生し、185人が亡くなりました。

クライストチャーチのローカルラジオ局Plains FMで番組プロデューサー兼パーソナリティを務める晝間尚子さんのブログを見ていたら、カンタベリーテレビ(CTV)ビルの倒壊災害の検証のファイナルレポートが、昨年末の12月に出ていたことを知りました。



■CTVビル倒壊災害の検証ファイナルレポートに他言語訳


CTVビルは、日本から研修生が多く行っていた語学学校が入居していたところで、日本人28人を含む多数の犠牲者を出した現場です。歴史的建造物でもない建物がなぜあんなにひどく崩れたのか、という全壊ぶりだった様子は当時のニュースでもたびたび語られてきました。

CTVビルの災害の検証を行ったのは、英連邦諸国のなかで重大な出来事があった際に立ち上がる王立委員会(Royal Commission, マーク・クーパー委員長)です。

英語の専門用語だらけのレポートが、私にも読めるかしら? と思いながら見に行ってみて、ちょっと驚きました。だって日本語でもレポートの要旨版(結論のVolume6のみ)が出されていたんです。


翻訳が微妙に違うかもしれないから、公的なレポートはあくまでも英語版という断り書きが付いていますが、それでもすごくきちんとした報告書として読ませていただきました。

他にもタイ語、韓国語、韓国語、中国語でも出されています。ご遺族や当事者からの要望もあったのでしょう。


■CTVビルの事故原因は“事なかれ”の積み重ね


レポートでは、CTVビルの設計が行われた1986年にまで遡り、デザインに関わったエンジニアが複層階の建物を設計したことがなかったことや、エンジニアを雇っていた経営者が市当局にかけた圧力、その圧力に屈して市の建築基準に達していないながら認可を出してしまった市担当者の話しなどが、詳細に書かれています。

その後も、1990年にはコンサルが不適合としていたものの設計図が精査されず、2010年9月4日の地震(M7.0)後の外壁目視検査後にはグリーンのステッカーが貼られ、使用制限を設けられることがなかったそうです。

事なかれだったんですね。安全面を危惧する意見もあったし、不適合とまでコンサルで出されていたのに。

報告書を読みながら感じたのは、1年5ヶ月かけて徹底的に原因を究明したぞというメッセージと、その結果を遺族や当事者にきちんと届けるという強い意思でした。

いま、私自身も取材を続けている石巻市の大川小学校の津波災害の検証委員会のことを思ってしまいます。

検証委はスタートしたばかりですが、初回の会合を傍聴した限り、自己保身的な意見が散見されて、どうなることやらと先行きを案じています。肝心のご遺族の気持ちについては、ダイヤモンド・オンラインで書いています。


■保険も建築許可も下りない…あの日から2年の現地の現状


NZのクライストチャーチ地震の話しに戻りますが、晝間さんに直接お話を聞いたところ、現地のこんな現状を話してしてくれました。

震災から2年が経ったいまも、保険で修繕費用をまかなえない人や、住宅を建てられない人が続出しているというのです。

2010年の9.4地震で損壊を受けた家屋のチェックをしてくれるエンジニアがやってくるまでに1年、調査報告が届くまでに1年といった具合なんだそうです。しかもその報告書がまたずさんだったそうで……。

うーん、それは辛いよなぁ。。

当然9.4地震からわずか5ヶ月後の2.22地震で、さらに大打撃を受けているわけで。

原因は、NZでは住宅保険の中にデフォルトで地震保険が含まれているために、膨大な申請量になったことや、建築の耐震基準の審査を厳しくチェックしているために、大幅な遅延が発生していることだそうです。

「でも、クライストチャーチはNZで一番安全な街になるって前向きに捉えている」

という晝間さんの言葉も印象的でした。クライストチャーチの復興の進捗にも目を向けていきたいと思います。



・晝間尚子さんのブログ
「CHRISTCHURCH最高!&NEWZEALAND生活/旅行情報」
最新のクライストチャーチ事情が詳しく掲載されています。
http://jdunz.com/newzealand/

・王立委員会 最終報告書 第6巻 CTVビルディング第9節:
結論と勧告の要旨日本語訳
http://canterbury.royalcommission.govt.nz/Final-Report-Volume-Six-S.9---Japanese

2012年1月5日木曜日

改めて気象サイエンスカフェのこと。災害と科学と社会の狭間でみつけた問いを追いかけて

2012年最初の気象サイエンスカフェ東京は、1月14日(土)に有明の防災テーマパーク「そなエリア」で行います。テーマは鉄道×防災にしました。国の誇る、超巨大防災拠点(本物)を見ることもできますので、ぜひご参加ください。


2012年1月14日(土)第29回気象サイエンスカフェ東京
鉄道と気象の関わり~鉄道会社における防災の取組み~
(申し込みはウェブサイトからお願いします)
http://meteocafe.blogspot.com/2011/12/114.html


以前のエントリにも書きましたが、鉄道発展の歴史は、災害との闘いの歴史でもあります。

リンク:鉄道地図帳でよみがえる過去の地震・津波の影響の大きさ(2011年10月2日)

ところで、私がサイエンスカフェという場で、科学コミュニケーションに挑戦しはじめたのは、2005年のことです。気象の分野にこだわった気象サイエンスカフェをはじめたのは、その翌年でした。

きっかけは、2004年でした。この年は、台風が前代未聞の10個も上陸しました。実感としては、毎週末、嵐がやってきた感じで、防災情報の伝達がうまくいていないことが、たびたび課題として取り上げられました。その頃の私は、CSやCATVの気象キャスターとして「伝える」側にありました。

「警報や避難を呼びかけても、避難しない人がなぜこんなに沢山いるんだろう」

隣接する県や市で災害が起きていたにもかかわらず、1週間も経たないうちにまた同じような被害が出てしまうことが、とても不思議でなりませんでした。

逃げなければいけない人に、誰が情報を伝えるか、危険であるという感覚をどう理解してもらうか、そもそも一人でも伝わりやすいようにするための工夫は、などと考えているうちに、これは科学・技術情報と社会のコミュニケーションの問題だと思い至りました。マスメディアの仕事ではできない、気象予報士の役目を見つけた瞬間でした。

気象サイエンスカフェは、5年以上続いていますが、いまだに「科学技術の専門家と一般参加者の人たちの距離が近づいた」という実感を積み重ねることができずにいます。それでもここまで続けさせていただいたこと、地域カラー豊かな地方展開が図れていることを、関係者の皆さんに感謝しています。

日本の気象界は、学術分野と技術分野の高い専門性のある人たちの多くが、同時に公務員です。このことが、対話や「新しいフラットな関係性」を呼びかけるうえでの、しばりや心理的な難しさとなっていると感じます。

しかしいま、これまでの取り組みを考え直し、場の質を高めていこうと改めて思っています。気象界特有の空気感も理解しつつ、理念も手法も手探りで取り組んでみようと、仲間を少しずつ増やしているところです。

2011年の福島の原発事故をきっかけに、関係者や専門家と言われる人々と、被災者・国民の間に繰り広げられた、まずいリスクコミュニケーションの数々に、

「着眼点は間違ってなかった」
「本気で科学・技術の課題と社会を結びつけるためにできることをしよう」

という思いを強くしました。震災直後に、サンデー毎日(2011年3月17日号)にも、科学技術情報を専門家でなくても理解できるよう伝える動きが今後は必要とされる、といった趣旨のコメントさせていただきましたが、以来、本当にその気運は高まってきたと感じます。

私だけでなく、色んなジャンルで、STS(Science and Technology in Society)に取り組むみなさんも、きっと同じような気持ちでいるのではないでしょうか。

今年は、私も上手に、色んな人たちを巻き込んで行きたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2011年3月25日金曜日

東北地方太平洋沖地震/石巻:「この津波被害をちゃんと記録して欲しい」

地元の方の案内で、石巻市内を回った。
石巻市は、エリアの約2/3が津波の被害に遭った。

水がだいぶ引いてきて、行けるところが増えてきたからと、
海岸沿いまで連れて行ってくれた。

でもやはり途中、道路に池みたいな水たまりがあって、
無理しないで欲しいと何度も言ったのだけど、
「昨日自転車で通ったから大丈夫」と、ずんずん車を進ませていく。



「この津波被害をちゃんと記録して欲しい」

この人は何度もそういって前へ向かった。
被害が非常に大きかった地区の町内会長さんだが、
「きちんと残したい」とはっきりした意志をもって、
自分の知っている限りのロケーションを案内してくれた。

津波が全てをさらっていった海岸線のエリア、工業湾付近。
戦地にたとえる人もいるが、かつて長崎で見た「爆心地」の写真の印象に近かった。
家が並び、集落があったのだろうが、土台しか見えない。
「点」ではなく「面」の果てしない傷跡なのだ。

崖沿いの、最も被害のひどかった地域、門脇町と南浜町。
海岸線から崖に向かって全ての物が流れ溜まり、その後、出火した。
全部焼けていた。
家も車も学校も電柱も木も、見える物が何もかも焦げた「色」だった。

旧北上川沿いの繁華街、中央町付近。
石巻一のメインストリートで、多くの商店が並ぶが、
1階は(おそらく2階も)どこもまだ黒く濡れたヘドロで埋まっている。

やっと車が通れるようになったばかりのところに、
多くの人が片付けに戻っていた。
2週間前までは立派な生活道具だったはずの物が、
ゴミや瓦礫として通りに積まれていく。

海岸線から2km以上内陸の蛇田は、
一部が床上浸水で大きな被害を免れた唯一の地区だったが、
満水になっている「洪水調整池」を目撃した。

洪水(防災)調整池とは、雨水が河川から流出するのを抑制するために、
一時的に溜め池の役目をする施設。
台風や集中豪雨時の雨量強度を想定して作られるが、実際に満水になることは滅多にない。
津波に対して機能したと言えるのかどうか分からないが、
調整池が満水の光景だって、本来ならとても奇妙なはずだ。
(調整池は、公的なものかどうか確認できていません)

共通するのは、「日常」「暮らし」がまるごと津波にさらわれてしまったという点だが、
数百メートルという単位で、被害の景色が違う。
本当に果てしない。

メディアだけでなくあらゆる立場の人が、この破壊と営みの境界線に立ち、
この記録を残していくべきと思った。
災害を記録せよ。
被災者・当事者は伝えたがっている。



<4/22追記>
みたいもん:311東北地方太平洋沖地震:デジカメ1台があることで記録できることの意味
で記録することの大切さをいしたにさんが書いてます。

位置情報を残しておくことがとても大切ということですが、
私も途中から知人から同じ指摘を受けました。
一眼レフカメラやCFカードでは位置情報を付加できないので、
まずiPhoneで1枚撮ってジオタグを残すようにしてから、撮影していました。

被災地に入られる場合、
みなさまそれぞれの社会的な役割を持った目線での記録活動をしてください。