◇【新刊のお知らせ】SB新書から『下流中年 一億総貧困化の行方』という中高年層の貧困化について取りあげた本を出しました。雨宮処凛さん、萱野稔人さんなど6人での共著です(2016年4月6日)

2011年3月31日木曜日

東北地方太平洋沖地震/石巻:被災樹の桜は咲くか。 門脇小学校の桜のつぼみ

石巻では様々な場所を取材に訪れましたが、
桜を見つけたらつぼみの写真を撮るようにしてました。

3月24日現在の門脇小学校の桜(たぶんソメイヨシノ)


石巻は市街地の2/3が浸水しました。
避難所になっている学校や公共施設も多くが一度浸水していますので、
桜は潮水できっと傷んでいることと思います。

それでもほっこり花を咲かせてくれたらいいなと思うのですが、
調子はどうなんでしょうね、ソメイヨシノさん。

実は、私たちが主に取材で訪れた先は、もっともっと被害の大きかったところ。
捜索やがれき撤去が手つかずのあたりでした。

被災樹の桜は咲くのか。
一番知りたいのは、石巻市立門脇小学校の桜の様子です。



校舎は火災で真っ黒。
校庭だったところも、押し寄せた車や家などのがれきで埋まり、
全てが燃えています。足が震えるほどの地獄絵図です。

そこで、「母親の亡骸を見つけた」という男性に出会いました。

警察に言っても手が回らないと言われたそうで、
工具を持ってきて自分で引き上げに向かう背中を、遠くから見つめました。
非常に危険な場所でした。

来週4/4からまた石巻を訪れます。
ウェザーニューズの開花予想では
石巻の日和山公園(←ここは高台なので無事)が4/18。
タイミングはまだ早いですが、またつぼみの様子を見てきます。

私は今週末、東京で花見します。美しい花を愛でるのは大事。自粛なんてしません。

東北地方太平洋沖地震/石巻:「海が動いた」という表現に出会った

気象キャスターをしていた経験から、自然災害の恐ろしさを
簡単だけど適切な言葉で表現できないかといつも考えている。

今回、地震・津波災害の被災地石巻での取材に同行して、
インタビュー中に出会った言葉でとても印象的だったのは、

「海が動いた」

という言葉だった。
よく、山が崩れて土砂災害が起きた時に、

「山が動いた」

と、被災者や目撃者が語っているが、
津波災害はそんなに起きることではないし、
海が動くなんてすごい表現は初めて聞いた。
過去の文献にも使われたことはないのではないだろうか。




その場にいて実感した人にしか表現できない「ものすごさ」がこもっている。
また、地殻変動のスケール感を表しているとも感じた。

これからの未来、津波の恐ろしさを伝える言葉として、
使っていきたい表現だと思った。

2011年3月25日金曜日

東北地方太平洋沖地震/石巻:「この津波被害をちゃんと記録して欲しい」

地元の方の案内で、石巻市内を回った。
石巻市は、エリアの約2/3が津波の被害に遭った。

水がだいぶ引いてきて、行けるところが増えてきたからと、
海岸沿いまで連れて行ってくれた。

でもやはり途中、道路に池みたいな水たまりがあって、
無理しないで欲しいと何度も言ったのだけど、
「昨日自転車で通ったから大丈夫」と、ずんずん車を進ませていく。



「この津波被害をちゃんと記録して欲しい」

この人は何度もそういって前へ向かった。
被害が非常に大きかった地区の町内会長さんだが、
「きちんと残したい」とはっきりした意志をもって、
自分の知っている限りのロケーションを案内してくれた。

津波が全てをさらっていった海岸線のエリア、工業湾付近。
戦地にたとえる人もいるが、かつて長崎で見た「爆心地」の写真の印象に近かった。
家が並び、集落があったのだろうが、土台しか見えない。
「点」ではなく「面」の果てしない傷跡なのだ。

崖沿いの、最も被害のひどかった地域、門脇町と南浜町。
海岸線から崖に向かって全ての物が流れ溜まり、その後、出火した。
全部焼けていた。
家も車も学校も電柱も木も、見える物が何もかも焦げた「色」だった。

旧北上川沿いの繁華街、中央町付近。
石巻一のメインストリートで、多くの商店が並ぶが、
1階は(おそらく2階も)どこもまだ黒く濡れたヘドロで埋まっている。

やっと車が通れるようになったばかりのところに、
多くの人が片付けに戻っていた。
2週間前までは立派な生活道具だったはずの物が、
ゴミや瓦礫として通りに積まれていく。

海岸線から2km以上内陸の蛇田は、
一部が床上浸水で大きな被害を免れた唯一の地区だったが、
満水になっている「洪水調整池」を目撃した。

洪水(防災)調整池とは、雨水が河川から流出するのを抑制するために、
一時的に溜め池の役目をする施設。
台風や集中豪雨時の雨量強度を想定して作られるが、実際に満水になることは滅多にない。
津波に対して機能したと言えるのかどうか分からないが、
調整池が満水の光景だって、本来ならとても奇妙なはずだ。
(調整池は、公的なものかどうか確認できていません)

共通するのは、「日常」「暮らし」がまるごと津波にさらわれてしまったという点だが、
数百メートルという単位で、被害の景色が違う。
本当に果てしない。

メディアだけでなくあらゆる立場の人が、この破壊と営みの境界線に立ち、
この記録を残していくべきと思った。
災害を記録せよ。
被災者・当事者は伝えたがっている。



<4/22追記>
みたいもん:311東北地方太平洋沖地震:デジカメ1台があることで記録できることの意味
で記録することの大切さをいしたにさんが書いてます。

位置情報を残しておくことがとても大切ということですが、
私も途中から知人から同じ指摘を受けました。
一眼レフカメラやCFカードでは位置情報を付加できないので、
まずiPhoneで1枚撮ってジオタグを残すようにしてから、撮影していました。

被災地に入られる場合、
みなさまそれぞれの社会的な役割を持った目線での記録活動をしてください。

2011年3月23日水曜日

東北地方太平洋沖地震/被災地の地図をイラレデータで無償提供する北海道地図(株)の心意気

あす3/23から311の被災地である石巻に入ります。

書店に地図を買いに行ったのですが、
地図コーナーには、東北地方の道路地図・住宅地図がゼロ。
県ごと市ごとの地図も残りわずかでした。
日本橋〜東京、銀座の書店を巡りましたが、どこも同じでした。

Twitterで地図がないない、とつぶやいていたところ、
地図や印刷の会社の関係の方が「お困りですか」と声をかけてくださいました。
そのなかに、北海道地図株式会社(@Hokkaido_Chizu)さんがあります。

会社のことは恥ずかしながら知らなかったのですが、
官公庁が発注する地図を主に受託制作している、旭川に本社を持つ会社だそうです。

その北海道地図(株)が、ウェブサイト(http://www.hcc.co.jp/information/report/report-earthqtouhoku.html)で
東北地方太平洋沖地震に対する地図画像(ai、PDF、JPG形式)を
無償提供しているのを教えてもらいました。

なかでも、Adobe Illustrator10のデータは、パスがちゃんと残ってる状態。
こんな使いやすいデータの状態で、えっホントにいいの?て感じです。
(下の画像はパスがわかるよう選択してあります)

とにかく、すごい心意気を感じてしまいます。

利用に当たっての条件は、

■目的:
東北地方太平洋沖地震に関わる印刷物、Web、報道等における地図素材として
■期限:
平成23年4月末日
■クレジット:
データを2次加工して使用する場合は地図上にクレジットと承認番号を必ず記載

だそう。
デジタルデータを加工できるイラストレータの状態で無料提供するって、本当につくづくすごいことだと思いますよ。

本気で役立てたいと思いました。

ちなみに、石巻市内の書店売りの地図は、
取材に同行させていただくジャーナリストさんに神戸で入手してきてもらいました。

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北海道地図株式会社@Hokkaido_Chizu
東北地方太平洋沖地震に対する地図データ「GISMAPS」の無償提供
各エリア1/100,000、1/200,000の2種類。(ai、PDF、JPG形式)
http://www.hcc.co.jp/information/report/report-earthqtouhoku.html
※利用条件、使用可能期限あり

2011年3月22日火曜日

写真提供すれば展示のチャンス。PHOTO TOKYOのギャラリー主催震災チャリティーオークション

写真ギャラリーには3種類あって、
申し込めば誰でも展示できるところと、
ギャラリーの求める一定の基準を超えないと展示させてもらえないところ、
将来性が認められた契約作家や企画の作品しか展示・販売しないところがあります。

ZEN FOTO GALLERY(禅フォトギャラリー)は、3つめ。
どんなに望んでも、将来性のある作家として「売れる」と認められなければ
展示できないギャラリーです。

東京にはいくつかのこういう格調の写真ギャラリーがあり、
PHOTO TOKYOへの出展では100万円単位の作品が売れていました。
ギャラリストさんやキュレーターさんたちも、
写真を見る目・そこから世界や時代を感じとる力を磨き、
国内外の気鋭の作家を発掘していますので、
各ギャラリーの展示を訪れるのは、私の楽しみのひとつです。

さて、その禅フォトが、
今回の東北関東大震災向けのチャリティーオークションを行います。
プロアマ問わず写真家たちからの「作品」を受け、
ギャラリーに展示し、それをオークションにかけるそうです。

写真家や作家にとっても、
滅多なことで展示が叶わないギャラリーの壁に、作品が展示されるチャンスです。

以下に、禅フォトの代表でディレクターのマーク・ピアソンさんからのメールを
貼っておきます。
写真提供したい写真家の皆様、ぜひ3月22日(水)までに提供の表明を!

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Dear friends,
みなさま

Next weekend 25-27th March Zen Foto is planning to hold a photograph event and auction in aid of Tohoku relief charities. Similar to the year end Shashin Bonenkai it will be organized as follows:
東日本大震災の被災地・被災者募金のため、来週3月25日~27日、ゼンフォトで写真のイベントとオークションを行う予定です。昨年末の写真忘年会と似ていますが、今回は寄付が目的のため、以下の内容で行います。

1.
please bring a work ready for display to Zen Foto in Roppongi On Friday 25th or Saturday 26th March and set a price – preferably in the range Y5,000‾Y50,000 – the works should be affordable (you can also send works in by post to Zen Foto Roppongi at the address below)
作品はそのまますぐに展示できる状態(ゼンフォトで額装はいたしません)で、3月25日(金)または3月26日(土)にゼンフォト六本木にご持参またはご郵送ください。作品の受付時間は項目3をご参照ください。作品の値段は5,000円~50,000円の間でお願いします。

2.
all sales proceeds will go to Tohoku relief charities – we will choose three charities and split the proceeds evenly between them
売り上げは全額東日本大震災の被災地・被災者へ寄付いたします。
売上金は三分割し、それぞれ別のチャリティー組織に寄付します。なお、チャリティー組織は現在選考中です。

3.
works will be accepted and displayed any time from 12:00 noon on Saturday 25th March (until 7pm)
作品の受付時間は、3月25(金)は19:00~21:00、3月26日(土)は12:00~19:00です。

4.
the event will close at 5pm on Wednesday 30th March
このイベントの展示は3月29日(水)の17:00までです。

5.
artists can set the suggested price for each work during the event
作品の値段は5,000円~50,000円の間でご自身で設定してください。
6.
unsold works will be auctioned from 4pm‾5pm on 27th March, prices starting at Y1,000, so all works will be sold. No works will be returned this time.
買い手のつかなかった作品は3月27日(日)の16:00~17:00に最低価格1,000円でオークションをします。
全ての作品を売り切ります。

I`m hoping that everyone will bring and everyone will buy. Then the amount we can contribute will be of significant assistance to those suffering in Tohoku.
作品を提供くださる皆さんがそれぞれ別の作家の作品を購入いただければ幸いです。より多くの金額を被災地・被災者に寄付するため、皆様のご協力をお願いいたします。

It would help us to know approximately how many will participate. If possible, please let us know whether you can join us by Wednesday 22nd March.
今回の展示会に賛同し作品を提供くださる場合、
3月22日(水)までにこのメールにご返信ください。
(mpearson [at] gol.com)

There may be more detail to follow, but as time is short I`ll leave it here. Sorry for the short notice, but that`s partly why we are holding this event.

Kind regards,
よろしくお願いいたします。
Mark Pearson
Amanda Lo
Gwen Robinson

Zen Foto Gallery
禪フォト・ギャラリー 
Rm 208, Piramide Building, 6-6-9 Roppongi, Minato-ku, Tokyo 106-0032
Gallery Tel: +81 (0)50 5539 6334 Skype: zenfotogallery
〒106-0032東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル208号室
www.zen-foto.jp
Opening hours: Wed-Fri 12:00-19:00, Sat-Sun 12:00-17:00
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2011年3月20日日曜日

緊急時用の血液型を入力させる「がれき系」ジャーナリスト向けSNS「LIGHTSTALKERS」

LIGHTSTALKERSというジャーナリスト向けのSNSがある。

久しぶりにログインした。
そしてプロフィールのブランク欄をきちんと埋めた。

LIGHTSTALKERSとは、具体的には、
Lightstalkers is a professional and social resource for journalists, filmmakers, photographers, and professional travelers.
というもの。
土地勘がなかったり、言葉の通じない国での取材に必要な情報を交換し、
コーディネーターなど登録者同士がマッチングしあう。(英語版のみ)

招待制でプロフェッショナルユースなので、
私の知人・仲間で使っているのはごくわずか。
トピックごとにディスカッションスレッドをたてていく方式で、
仲間内の盛り上がりやTLのストリーム感はない。

文字が小さすぎるなど、UI面がつらいので
登録してからずっとアカウントを寝かせたままでいた。

しかし東北関東大震災後、
TwitterやFacebookなども含めて様々なウェブサービスの
プロフィールを見直したくなった。
やわらかさは少し取り去り、
社会にコミットする主体性を出してもいいのではと思うようになった。

そこへ、友人のフォトグラファーからのこんな話を聞いた。

「突然、ドイツとフランスの知らないメディアから
『津波の写真を持ってるか?』って電話がかかってきたんです」

どんなところからコンタクトあるか分からないから、
LIGHTSTALKERSのプロフィールちゃんとしておきしましょう、とも言われた。
それで久々にログインした。



その独仏のメディアは、
日本に住んでいる、日本人である、カメラマンである、
というほんのかすかなフラグをたぐり、
SNS経由で彼にコンタクトしてきたという。

それなりのクラスタのフラグをたどれば
「津波につながる何かを持っている」であろう存在に近づけるかも、
と思うのは当然のことだと思う。

自分がその瞬間に期待される場にいるか、モノやスキルを持っているか、
ちゃんと蓄積できているか、ということも重要だけど、
それと同時に、ウェブサービス上で自分のプロフィールをきちんと整えて、
フラグをたてておくことも、とても重要なんだなって思った。


ところで、LIGHTSTALKERSのプロフィールを入力していくと、
‘Update Emargency Notes’という項目が出てくる。
そこにはなんと、「血液型」と「緊急連絡先」を入力する欄が!!



もちろん、主に戦場とか紛争地帯とかに出かける「がれき系」ジャーナリストを
想定ユーザーとして作られてるってこと、ですよね。

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LIGHTSTALKERS
http://www.lightstalkers.org/
アメリカのNovember Elevenというメディアが
2004年からやってるサービスのようです
(プロ向け招待制、英語版のみ)

2011年3月17日木曜日

トイレでも地震防災を学べる「しりべん(知って便利)トイレットペーパー」なるものがある

地震防災に役立つ知識が印字されているトイレットペーパーを、
時事通信社の防災リスクマネジメントWebのデスクにて発見してしまいました。
こちらには色々な資料があるのですが、たぶんこれもそのひとつ。

R0012449.JPG R0012450.JPG

正式名称は「しりべんトイレットペーパー」シリーズ「地震防災編」。
100個(10,080円)から100個単位で購入可。

今、世の中で大変品薄のトイレットペーパーですが、
こちらの在庫はどうなんでしょうね。
トイレットペーパーを万円単位で購入するのは勇気がいりますが、

入手したい方は、
ポケットティッシュ本舗(神広企画株式会社)
http://www.pt-honpo.com/toilet/kisei_siriben.html
にお問い合わせを。


息抜きにブログ書くってすごく必要ですね。。。ふう。